『暗いところで待ち合わせ』 乙一

 読んで早々聞いた話では、なんかこれも映画化されるとか。視覚に障害を持つ女性(全盲ではないが光を感じるだけでほとんど見えない)と、彼女の家に黙って入り込んだ(勝手に忍び込んだわけだが)殺人容疑者の男との数日間のふれ合い――と書くと全然粗筋になってないような気もする……。
 ふたりの視点を交互に書いてるのでひとつの出来事に対して二面から見ていくことが出来る。ちょっとミステリじみた仕掛けのようなものもあるけど、それはどちらかというと刺身のつまですね。事件解決はそう重要ではなく、やはりふたりのふれあい、特に言葉を交わさないコミュニケーションがとても暖かく感じます。
 しかしこれを映画化って……どうするんだろう。ふたりで交わす会話なんか(終盤を除いて)ほとんどないのに。モノローグだらけになるんだろうか。それはやだなぁ。