「沙羅は和子の名を呼ぶ」 加納朋子
 十の短編がまとめられた一冊。「ななつのこ」とかも同時に買ったのに何故私はこれから読み始めたのだろう。後書き(というか解説)を読む限り、この本に収められた短編は作者本来の持ち味を描いたものではないらしい。むしろこっちの方が作者の一連の作品に置いては異端というか、違う作風なのだという。……そうだったのか。いやはや最初にこれを読んでしまって、加納朋子とはこんな作品を書く作者なんだと刷り込まれてしまったのはどうしたらいいのやら。
 ともあれ、さらりと読める作風はとても心地よいものでした。今後の作品でどのように印象が変わっていくかたいへん楽しみです。